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【解説】お店のBGMでAppleMusicを使うのはJASRACと契約済でもNG!の理由

お店の固定費、少しでも減らしたいですよね。

USENに毎月利用料を払って、BGMをかけているお店も多いのではないでしょうか。

そんなお店では、USENを解約し、Apple MusicやSpotifyなどのサブスク音楽サービスを利用すれば、月数千円の削減になりますので、検討されている事も多いのではないかと思います。

USENはやめても、JASRACと契約するから、法律的には大丈夫!固定費削減できる!と思われるかもしれませんが、実はこの状態はNGなのです。

・・・というところまでは、詳しいオーナーさんは耳にされており、残念な気持ちになっている方もいらっしゃると思いますが、理由がわからないとスッキリはできませんよね。

この記事では、なぜこの状態がNGなのか?の理由について調査・解説します。

NGな理由が分かることにより、何か他の対策を考えつくヒントにもなるかもしれませんので、マニアックな解説になる部分もあるかと思いますが、お付き合い宜しくお願い致します。

※以下は本記事の配信時点の調査情報です。以後情報が変わる可能性がありますこと、ご了承ください。

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音源にはJASRACの管轄外の権利が含まれている

JASRACと契約すればお店のBGMは何でも流し放題ですね。

いえ、世に出回っている音源のほとんどには、JASRACの管轄外の権利が含まれるため、JASRACと契約したからと言ってなんでも流し放題という事はないんですよ。

JASRACが管轄しているのは、あくまで「著作権」、作詞者や作曲者などの権利です。

実際に私たちが音楽として聴けるようになる、いわゆる「音源」の状態になるには、作詞・作曲の行程だけでなく、演奏家が演奏をして、歌手が歌って、それをレコーディングして・・・という行程も必要です。

作詞・作曲(+編曲)以外で、音楽ができるまでに必要な付与される工程に関わった者(”者”が会社のこともあります)に付与される権利を、「著作隣接権」と言います。

※「著作隣接権」と「著作権」の違いについて、詳しく知りたい場合は以下も参考にしてみてください。

実は、「著作隣接権」に関しては、JASRACは管轄していないのです。

一体どういう事か、というのをイメージしやすくするため、お店から集められたお金がどこに還元されるのかまでを含めて、全体像を下の図にまとめてみました。

一部例外もありますが概ねこのような許諾・利用料徴収スキームとなっています

まず、USENと契約している場合ですが、USENはお店に代わってJASRACとも契約代行手続きを行いますので、JASRAC管轄の「著作権」に関しては問題ないです。

また、この図の通り、「著作隣接権」についての利用料もしっかり権利者に払われることになりますので、「著作隣接権」については、問題ありません。

では次に、USENと契約を解消して、JASRACと単独で契約を結んだ場合についてです。

この場合、「著作権」の部分(図の左側の部分)は引き続き維持されるので問題ないままですが、

USENが行っていた「著作隣接権」(図の右側の部分)の権利処理が無くなるので、無許可利用になってしまうんですね。

ですから、JASRACとの契約だけでは、権利処理が不充分なのです。

※著作隣接権者が権利フリーを公式に謳っていたり、別途、直接権利者に許可を取っている・・・などの例外は除きます。

ただし、著作隣接権者に許可を得なくても、方法によっては問題ない場合がありますので、

次はその方法について解説します。

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市販のCDをコピーせずBGMとして流す場合はJASRACとの契約のみでOK

じゃあJASRACと契約しても出来ることなんてないじゃないですか。

いえ、市販のCDをそのまま流したり、楽器で演奏したり、歌ったりすることはJASRACとの契約のみで可能ですよ。

「著作権」の中身には、権利者に無断で演奏してはいけないという、「演奏権」という権利が含まれています。

ここでいう「演奏」とは、その楽曲を楽器で演奏する事だけでなく、歌ったり、音楽プレイヤーで音楽を再生するような行為も含まれます。

いっぽう、「著作隣接権」には、この「演奏権」が含まれません。

著作権と著作隣接権(実演家の権利、レコード製作者の権利について)の内容(支分権)比較

そのため、JASRACとお店でBGMとして音楽を演奏する事に関しての契約を行えば、特に「著作隣接権」のほうは気にしなくても、音楽プレイヤーなどで楽曲を再生することが可能になります。

ただし、「著作隣接権」には、「複製権」(権利者に無許可でのコピーを禁止する権利)や、「送信可能化権」(権利者に無許可でインターネット上のストレージなどにデータを置くことを禁止する権利)がありますので、これらの行為はできません。

例えば、複数のCDから、お気に入りの曲を集めて音楽プレイヤーにコピーし、お店でBGMとして再生することは、再生そのものは許されても、準備段階でコピーしていることが問題になります。

※家庭内で聴くために、お気に入りの曲を音楽プレイヤーにコピーすることは、「私的複製」といって、許されている行為です。お店で流す目的でコピーを行うと、営利目的とみなされ、この範疇を超えます。

そうはいっても、今どきCDは不便・・・という方もいらっしゃると思います。

だからこそ、お店のBGMとしてApple Musicなどのストリーミング型音楽配信サービスを使おう、と検討されている方も多いのではないか思います。

コピーもしてないし、データをサーバー上に置いた(送信可能化した)のは、Appleなどのサービス事業者側なので、特に問題ないような気もします。

次はそちらについての調査結果を記載します。

音楽配信サービスの場合は、利用規約で営利目的利用が禁止されている!

Apple Musicとかなら、コピーとかしてないし、大丈夫なんじゃない?

入会の時にあまり読むことはないと思いますが、AppleMusicなどの音楽配信サービスの規約にはNGと書いてありますね。

少し法律の話を置いておいて、各サービス事業者の利用規約についてみていきましょう。

メジャーどころを確認していきます。

Apple Music

お客様は、個人的、非商用目的での使用に限って本サービスと本コンテンツを利用することができます

~中略~

 Apple が本サービスまたは本コンテンツをお客様に提供しても、それは何らかの商用目的の、または販売促進の使用権をお客様に譲渡したことになりません。

引用元:Apple メディアサービス利用規約

平たく言うと、営利目的でApple Musicを使用しないでね、という事です。お店のBGMとして使用するのはNGです。

Spotify

Spotify サービスおよびコンテンツは、Spotify または Spotify のライセンサーの財産です。当社は、お客様に、Spotify サービスを利用するための限定的、非独占的で取消可能な許諾、およびコンテンツを個人的かつ非商業的に利用するための限定的、非独占的で取消可能な許諾 (以下、総称して「本アクセス」といいます。) を付与します。

引用元:Spotify 利用規約

はい、言っていることはApple Musicと同じです。やはり営利目的NGです。

Amazon Music

お客様は、お客様個人の非商用的な娯楽目的に限り、本サービス等を利用することができます。

引用元:Amazon ミュージック利用規約

簡潔ですね。やはり他と同じく営利目的NGです。

LINE MUSIC

お客様は、本サービスで提供されるコンテンツを私的使用目的の範囲に限って使用できるものとし、商用、販売、再販、その他私的使用目的外での使用(複製、送信、転載、編集、改変、頒布を含みますが、これらに限りません。本項で以下「使用」という場合、同様です。)は一切認められません。

引用元:LINE MUSIC利用規約

やっぱり営利目的NGです。

なぜ営利目的NGなのか?

著作隣接権者(多くの場合、レコード会社)が、Apple Musicなどの音楽配信サービス事業者に、その音源をライセンスする上で、「こういう利用方法に絞ってね」や、「こういう利用方法はダメだよ」という取り決めをしているはずです。

ここで重要なのは、権利者側は、「複製権」や「送信可能化権」そのものを音楽配信サービス事業者側に売り渡しているわけではなく、あくまで自分たちのビジネスに不都合が無いような使い方しか許していない、という事です。

音楽配信サービス事業者も、「ユーザーに営利目的での利用をさせないでね」という契約を、レコード会社などと結んでいるから、その契約を守るために、規約という形できっちりユーザーに提示しているのでしょう。

サブスク型の音楽配信サービスは、あくまで個人利用目的に限定されているから、月額をリーズナブルな値段にできているのでしょう。

商用利用可能な音楽配信サービスもある

ではやはりUSENがベストなのかな・・・?

USEN以外にも、商用利用可能な音楽配信サービスもあるので、検討して未定はいかがでしょうか。

Apple Musicなどの、個人利用向け音楽配信サービスよりは、少し月額が高いですが、「OTORAKU」などの商用利用可能な音楽配信サービスもあります。

※「OTORAKU」は、USEN社のサービスです。やはり商用利用の方面はUSEN社が強い印象です。

また、ヒットチャートに上ってくるようなメジャー曲はないものの、雰囲気作りができればよい、という事であれば「モンスターチャンネル」のような比較的リーズナブルに商用利用できる音楽配信サービスもいくつかあります。

商用利用可能な音楽配信サービスの中から、お店の雰囲気や予算にあったサービスを探してみるのも良いと思います。

まとめ

この記事では、お店のBGMでApple Musicなどの個人向け音楽配信サービスを使うのは、JASRACと契約済でもNGである理由について、以下のトピックで調査・解説しました。

・音源にはJASRACの管轄外の権利が含まれている
・市販のCDをコピーせずBGMとして流す場合はJASRACとの契約のみでOK
・音楽配信サービスの場合は、利用規約で営利目的利用が禁止されている!
・なぜ営利目的NGなのか?
・商用利用可能な音楽配信サービスもある

既に個人でApple Musicを契約していて、そのままお店のBGMとしても使ってしまえば、実質お店のBGMにかける費用はJASRAC契約料のみ、となるので、固定費削減効果は大きいです。

しかし、それは著作隣接権の侵害にあたりますので、心配な方は別の方法を検討するか、商用利用可能なサービスを探してみることをお勧め致します。

長い記事になってしまいましたが、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

※以上は本記事の配信時点の調査情報です。以後情報が変わる可能性がありますこと、ご了承ください。

コメント

  1. 伴貞臣 より:

    アップルに確認したところ、店舗BGMとして利用不可ではないと回答をもらいました。

    • ビーオー ビーオー より:

      本当ですか!Apple Musicの規約を見ると、営利目的では使用不可と思われるのですが、Apple Musicのご担当者へご連絡されたという事でしょうか。

  2. 伴貞臣 より:

    もう一点失礼します。ダウンロードせずにストリーミング再生の場合は著作隣接権は発生しません。

    • ビーオー ビーオー より:

      ダウンロード利用においても、ストリーミング利用においても、原盤に対する著作隣接権は存在します。

      ものすごく分かり辛いのですが、著作隣接権の具体的な内容(支分権)には、「演奏権」がありません。「複製」せず、「送信」もしないのであれば、(例えば、CD原盤を複製せずにお店のBGMとして再生する等)権利者に許諾なく利用が可能です。

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