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【エガちゃんねる】「スリル」今までは無許可だったのか?「エールと思って使ってほしい」を著作権の観点で分析!

江頭2:50さんのYoutubeチャンネル、「エガちゃんねる EGA-CHANNEL」。登録者228万人(2021/1/30時点)の、大人気チャンネルです。

江頭さんの人柄や、アグレッシブな姿勢が感じられる素晴らしい動画がたくさん上がっています。

そんな江頭さんのテーマ曲といえば、布袋寅泰さん「スリル」。TVでは、イントロが流れるだけで、江頭さんが登場するぞ!という事が分かるほど、浸透しています。

しかし、なぜか「エガちゃんねる」で流れることはなく、何か物足りなさを感じていたところ・・・

2021/1/13にアップされた”布袋よ、聞いてくれ!「スリル」“という動画で、ついに江頭さんがカラオケ音源に合わせて「スリル」を歌うという動画が流れました!

さらに、2021/1/29にアップされた”すごいことが起きました…“という動画では、”「スリル」をテーマ曲として公認してほしい”という江頭さんからの手紙に対しての、布袋さんから”公認はしないが、エールだと思って使ってほしい”という返答の手紙が報告されました。

これから、「エガちゃんねる」で、「スリル」が使われていくのでしょうか?楽しみです。

めでたしめでたし・・・となるところですが・・・

気になる点としては、1/29の動画で本人の「使用許可」ともとれる返答が来る前に、1/13の動画でも”歌う”という行為で、既に「スリル」を使ってしまっていることです。

それに加え、そもそも長年、登場曲として使ってしまっていますから、それまでは無許可で使用されていたのでしょうか?

・・・実際はそんなことはなく、少なくとも著作権的観点では、適正な利用がされていたと思います。

実は、現在の著作権処理では、布袋さんと江頭さん、つまり著作者と利用者の間での直接のやり取りとはあまり関係なく、楽曲の使用可否が決まってしまうのです。

今回の記事では、いったん世の中にリリースされた楽曲の使用可否は、多くの場合アーティスト本人が決めることはない、という事について触れたいと思います。

※以下は本記事の配信時点の調査情報です。以後情報が変わる可能性がありますこと、ご了承ください。

現在のエガちゃんねるオープニング曲
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著作権の観点:JASRAC or NexToneが許可します!

今までの「スリル」の利用は、無許可だったんだねぇ・・・

いえ、しっかり許可はとっていると思いますよ!

どういうこと?

結論から言うと、1/29以前の「スリル」利用についても、著作権(作詞・作曲家の権利)については、しっかり許可をとって使っていたと思います。

なぜそう言えるかというと、現在の音楽業界の構造上、著作権について直接の使用許可を出すのは、JASRACやNexTone等の著作権管理団体であり、江頭さんが登場したTV番組を製作した放送局や、エガちゃんねるの動画が上がっているYoutubeが、著作権管理団体から許可を得ているからです。

以下は、そのことを表した図になります。

音楽の利用許諾構造(例外もあります)

一般的には、布袋寅泰さん等、著作者の方は、音楽出版社に著作権を管理したり、利用用途を広げたりする業務を、著作権の譲渡契約(永久譲渡というわけではなく、契約期間が定められている場合がほとんどです。)という形で依頼します。

それを受けて、音楽出版社は、管理業務の一部をJASRACやNexTone等の著作権管理団体に預けます。

そして、利用者はサービス事業者のサービスを介して著作物を利用しているわけですが、

利用者が直接、個別に著作権管理団体に許可を取っていくのは、案件の数が多すぎて、制御しきれなくなるため、

いわば元栓であるサービス事業者と著作権管理団体が契約を結び、契約を結んだサービスの利用想定範囲内であることを条件に、使用許可を出す・・・という流れになっています。

少し複雑ですので、短くまとめると、

・実質的な使用許可を出すのは、布袋寅泰さんなどのアーティスト本人ではなく、著作権管理団体である

・サービス事業者が著作権管理団体とやり取りしているため、利用者もそのことを意識することは少ない

という事になります。

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著作隣接権の観点(Youtubeの場合):レコード会社の許可が必要!

じゃあ、今回の布袋さんの「エールだと思って使ってほしい」というのは意味が無い?

いえ、まだ分かりませんが、大変意味があることかもしれません。

1/13の、江頭さんが「スリル」を歌った動画では、「原盤」が使われていませんので、Youtubeに無数に上がっている「歌ってみた」などと同様に、布袋さんサイドに特に許諾を得なくても大丈夫なケースです。

(使用しているカラオケ音源はJOYSOUNDのものでしたので、JOYSOUND(エクシング)には許可を取る必要があり、ここは当然許可を取っていると思います。)

しかし、TV放送の登場BGMのように、原盤そのものを使う場合は、先に挙げたJASRACなどの著作権管理団体が管理しておらず、さらにYoutubeも許可を取っていない、「著作隣接権」というものが絡んでくるため、その権利者、つまり多くはレコード会社に、利用者が直接許可を得る必要があるのですね。

詳しい話をすると長くなってしまいますので、この記事では割愛しますが、以下で説明しておりますので、興味のある方はご覧いただければと思います。

現在のYoutubeでは、コンテンツIDを使った「事後許諾」の可能性はあるのですが、筋を通した「事前許諾」を行いたい場合は、やはり直接許可を取っていく必要があり、高いハードルとして君臨しています。

1/29の動画で紹介されていた布袋さんの手紙の「エールだと思って使ってほしい」に込められている真意は分かりません。布袋さんのお気持ちを書かれただけなのかもしれません。

しかし、これが布袋さん本人だけでなく、レコード会社としての意思も伝えるものだったとしたら、「事前許諾」に相当する可能性があり、「エガちゃんねる」が高いハードルをクリアした可能性があります。

もしそうだとしたら、1/29の動画は、本当に歴史が動いた瞬間だったのかもしれませんね。

これから「エガちゃんねる」で「スリル」の原盤が使われるか否か、注目です。

著作隣接権の観点(TV放送の場合):許可は不要!使用料は必要。

でも・・・TV放送では、江頭さんの登場シーンに原盤が使われてたじゃないですか。やはりTV局だから、レコード会社から許可が出やすいんですかね。

いえ、利用に際して相当に配慮はしていると思いますが、実は個別に許可はとってないんですよ。

実は、TVなどの放送分野に関しては、レコード会社は利用を制限する権利はないんですね。(あくまで法律上ですが。)その代わりに「報酬請求権」というものがある、という状態です。

Youtube等と違って、「利用料さえ納めれば、使用してよい」という状態になっています。

利用料は、TV局から、日本レコード協会、および芸団協CPRAに支払われ、そこからレコード会社に分配が行われています。

したがって、おそらくですが、1/13の動画で説明されていた、「笑っていいとも!」でナインティナインの矢部さんが「スリル」を使った際も、直接レコード会社に許可を取っているわけではないと思われます。

TVやラジオなどでは原盤そのものが使われていることが多く、Youtube等ではほぼ使われていない、という状況の背景には、原盤の使用許可が不要か必要か、という理由があるのだと思います。

まとめ

この記事では、「エガちゃんねる」にアップされた「スリル」をめぐる動画をきっかけに、楽曲の使用可否は、多くの場合アーティスト本人が決めることはない、という事について、以下トピックで解説しました。

著作権の観点:JASRAC or NexToneが許可します!
著作隣接権の観点(Youtubeの場合):レコード会社の許可が必要!
著作隣接権の観点(TV放送の場合):許可は不要!使用料は必要。

私的には「エールだと思って使ってほしい」発言は、「エガちゃんねる」に対する原盤使用許可だったかもしれない・・・と勝手に期待しております。

これから「エガちゃんねる」で「スリル」の原盤が使われるか否か、注目です。

※以上は本記事の配信時点の調査情報です。以後情報が変わる可能性がありますこと、ご了承ください。

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