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著作権譲渡契約と利用許諾契約の違い!副業で写真、イラスト、音楽を販売する時の注意! | イラストAC、写真AC、Shutterstock、PIXTA、Audiostockなど

最近は副業、サイドビジネスに興味を持っている人が多いかと思います。

イラストAC、写真AC、Shutterstock、PIXTA、Audiostockなどの、ストックフォト、ストックイラスト、ストックオーディオ・・・といったサービスにクリエイター登録を行うと、イラストや写真、音楽の販売を比較的簡単に始めることが出来ますが、案外軽視されがちなのが、作品の著作権についてです。

これをおろそかにすると、思わぬトラブルに発展することも。

作品を登録する前に、クリエイターとプラットフォームの契約がどうなっているか?についてしっかりと確認し、納得したうえで登録しましょう。

プラットフォームが提示する規約、つまりクリエイターとプラットフォームの間の契約には、大きく分けて「著作権譲渡契約」「利用許諾契約」があります。

今回は、この2つのタイプについて具体的に解説しますので、参考にしていただけると幸いです。

なお、イラストや写真、音楽をダウンロードして使う側の方にも、その使用方法について参考になる部分もあると思いますので、ぜひご一読ください。

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タイプ1:著作権譲渡契約

代表的なところでは、イラストAC、写真AC、シルエットACなど、ACワークス社のプラットフォームがこのタイプの契約となっています。

著作権譲渡とは

著作権とはそもそも何か、については、以下記事に簡単にまとめていますので、ぜひご覧ください。

著作権とは、端的に言ってしまうと作品の利用を独占できる権利」、言い換えると「作品を勝手に利用されない権利」です。

作品が生まれた瞬間に、その作品を生み出した人、つまりクリエイターが著作権を手にすることになります。

※職務著作などの例外あり

ただし、著作権は他の人に譲渡可能、という特性もあります。

例えば、クリエイターAさんが、ある作品Bの著作権を、Cさんに譲渡すると、たとえ作者本人であるAさんであっても、Cさんに許可を得ないとその作品を利用できなくなってしまいます。

著作権をCさんに譲渡した場合は、作者であるAさんであっても作品の使用時にCさんの許可が必要

なお、著作権を譲渡した場合も、作者がAさんであるという事実は変わりませんから、Aさんは作者が自分であるという事は、主張できます。

著作権譲渡契約の内容

著作権譲渡の契約は、口約束などでも成立しますが、あとでトラブルになるケースが多いため、契約書や利用規約など、書面で残しておき、後から当事者間で確認できるようにしたり、第三者に対して内容の証明が出来る状態にしておくことが普通です。

例えば、イラストACの規約ではどのように書かれているでしょうか。

以下、イラストACの利用規約から引用します。

イラストをアップロードしたことにより、会員は、イラストの一切の著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)を弊社に譲渡し、以後、イラストに関する著作権は弊社に帰属します。

イラストAC利用規約より

このように、明確にイラストの著作権をクリエイターからイラストAC側に譲渡する旨が記載されています。

規約とは、つまり規約を提示する側と、利用者側の契約ですから、読み飛ばしがちではありますが、重要ですので、特に作品をアップロードする方はしっかり確認したほうが良いですね。

“著作権法27条及び28条の権利を含む”とは

先ほどの規約に「(著作権法27条及び28条の権利を含む)」という記載がありました。

その前に「イラストの一切の著作権を」と言いつつ、なぜいちいちこのような補足を入れているのでしょうか。

著作権法27条では、翻訳、編曲、変形、翻案に関する権利が、著作権法28条では、二次著作物に対して、二次著作物の著作者と同等の権利を有する、という事が定められています。

作品の改変について許可や禁止を出来る権利と、その作品をもとにして作られた二次著作物に対して影響を及ぼせる権利ですね。

実はこの2つの権利は、「一切の著作権を」と契約書に記載しただけでは、譲渡されたとみなされない可能性があるのです。

そこで、 「(著作権法27条及び28条の権利を含む)」 と表記することで、これらの権利も対象である、と明確に規定しているのです。

これは、イラストACに限らず、著作権譲渡契約全般において、よく見られる内容です。

著作者人格権の不行使契約

著作物にまつわる権利には、「著作権」のほかに、「著作者人格権」があります。

著作者人格権ついて、イラストACでは以下のような規約があります。

イラストをアップロードした会員は、弊社あるいはイラストをダウンロードした利用者、その他いかなる第三者に対しても著作者人格権を主張しないものとします。これは学校や教育機関など、グループとしてイラストをアップロードする場合にも適用されます。

イラストAC利用規約より

著作者人格権は、著作者(クリエイター)本人の名誉にかかわる権利であり、著作権と違って他の人に譲渡することが出来ません。

著作者人格権には、例えば、「氏名表示権(著作者の名前を表示するかどうかや、その表記内容について決められる権利)」や「同一性保持権(作品を無断で修正されない権利)」があります。

これらに関しては、クリエイターそれぞれによって判断基準が異なりますから、厳密に守ろうとすると利用者はクリエイターにその利用方法について細かく報告を、クリエイターはその内容を逐一チェックしてOKやNGの判断をしなくてはなりません。

そのようなことを行ってしまうと、利用者、クリエイター両方にとって不便であり、イラストACのようなサイトの意義がほとんどなくなってしまいます。

しかし、権利の譲渡はできませんから、クリエイターに対して「著作者人格権を主張しないものとする」という規約を守ってもらう事で対応しています。

こちらについても、著作権譲渡契約全般において、よく見られる内容です。

ACワークス社補足

ACワークス社のプラットフォームに作品をアップロードすると、著作権はACワークス社に譲渡され、著作者人格権もACワークス社やそのユーザーに対しては行使できなくなってしまいますが、クリエイターにとってあまりにも不便な状況を避けるため、以下については規約でカバーされています。

他の素材ダウンロードサイトへのアップロード→OK

弊社はイラストをアップロードした会員がアップロードしたイラストを、他の素材ダウンロードサイトにアップロードすることを許可します。但し、アップロードした素材ダウンロードサイトが、イラストの著作権をダウンロードサイト運営者あるいはユーザーに移転させ、あるいは放棄させる内容のものである場合は、この限りではありません。また、弊社は、イラストをアップロードした会員がそのイラストを他の素材ダウンロードサイトにアップロードすることが許可される場合に、そのイラストが、そのサイトのユーザーにより適法にダウンロードされたときは、弊社はそのユーザーに対して著作権を主張しません。

イラストAC利用規約より

まとめると、Sutterstock等の他のサイトへのアップロードや、ダウンロードしたユーザーの使用についてはOKという事です。(著作権譲渡契約となっているサイトは除く。)

そのため、ACワークスのプラットフォームで販売している作品について、他のプラットフォームで販売しても問題ありません。

退会後の著作権の変換

会員が退会した場合、弊社は、会員がアップロードしたイラストについて、管理・保存・削除その他弊社が適当と考える処理を、任意に選択できるものとします。また、審査落ちしたイラスト、審査まで進まず削除したイラストの著作権は返還します。

イラストAC利用規約より

一度も販売されなったイラストに関しては、退会時に著作権が変換されます。

ただし、一度でも販売された作品の著作権については、退会後も返還されませんので、注意が必要です。

クリエイターのポートフォリオとしての紹介

クリエイターとしては、作品を自分のブログやSNSなどで、ポートフォリオとして公開したい事も多いかと思います。

前述しましたが、その作品の作者であることは主張しても問題ないのと、イラストAC等の(ダウンロードユーザー側の)規約に則って作品を使用することは問題ありませんので、自身のポートフォリオとしての公開は問題ありません。

ただし、自分がダウンロードユーザーとして自分の作品をダウンロードした場合は、「不正ダウンロード」とみなされるそうですので、元素材を使うようにしましょう。

なお、著作権はACワークス側に譲渡されているので、利用方法について迷ったときは、クリエイター本人であってもACワークスに問い合わせる必要があります。

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タイプ2:利用許諾契約

Shutterstock、Audiostock、PIXTAなどがこのタイプになります。

素材ダウンロードサイトでは、このタイプが多いように思います。

このタイプの規約は、以下記事でも触れていますので、ぜひご覧ください。

利用許諾契約とは

著作権は著作者(クリエイター)に残したまま、作品の利用を許可する内容の契約です。

素材ダウンロードサイトの場合は、第三者への販売や、第三者がそれを利用して新たなコンテンツを制作することを許可する、という内容が多いでしょう。

以下はPIXTAの例です。

当社が複製等を許諾した後も、著作権等コンテンツに係る諸権利は、当該コンテンツのクリエイター会員又は著作権者に帰属し、会員に対し権利の移転は行われません。

PIXTA利用規約-コンテンツ提供契約より

このように著作権がクリエイターに残ることが明記されています。

そのうえで、

クリエイター会員は、本クリエイター契約に同意し、本サービスに当該クリエイターが権利を保有するコンテンツをアップロードすることで、当社に対し、時期、地域に何ら制限なく、当該コンテンツ及びタグ・タイトル等附随して提供される情報(以下「関連する情報等」といいます。)を複製、頒布、販売、宣伝、公衆送信、送信可能化、展示等し、又は二次的著作物を作成すること、及び当社が第三者(当該第三者から使用許諾等する者を含みます。)に対し、本サービスのコンテンツ使用許諾契約又は別途当社が定めた条件で、コンテンツ及び関連する情報等につき本項に定める複製等を許諾することにつき、それぞれ非独占的権利を付与します。

PIXTA利用規約-コンテンツ提供契約より

著作権が移転しないため、契約で利用の範囲を具体的に規定する必要があります。

規定されていない利用方法についてはクリエイターの別途許諾が必要のため、あらかじめ利用方法が細かく規定されていることが多いです。

独占か非独占か

メジャーなサイトについては、「“非”独占的権利を付与」となっていることが多いですが、もしここが 「独占的権利を付与」になっていたら、要注意です。

そのサイトに独占的に利用を認めるわけですから、他のサイトに、販売等の同じ目的で作品を登録することはできなくなってしまいます

文章上は漢字1文字だけの違いですが、内容としては大変大きい違いですので、注意が必要です。

著作者人格権の扱い

利用許諾契約では、著作権については譲渡されませんが、著作者人格権については不行使契約が設定されている場合があります。

クリエイター会員は、購入者等が、コンテンツに加工を自由に施すことを承諾し、コンテンツの使用にあたりコピーライト表示(クレジット表示)又はこの非表示等を求めないものとします。その他、著作者人格権を行使しないことに同意します。

PIXTA利用規約-コンテンツ提供契約より

前述しましたが、著作者人格権をクリエイターが行使できるようになっていると、利用者、クリエイター双方が不便になることが多く、素材ダウンロードサイトの存在意義が薄れるため、このような条項が盛り込まれているものと思われます。

クリエイター自身ができる事

非独占的な利用許諾契約では、著作権はクリエイター自身に残りますから、クリエイター自身がブログやSNSなどで使用したり、他のサイトを使って販売したりすることについて、 利用許諾契約内で特別に規定されていない限り、何ら制限は受けません

まとめ

今回は 「著作権譲渡契約」と「利用許諾契約」 について解説しました。

著作権譲渡契約になっていると、サイト側がコントロールできる範囲が広くなりやすいため、例えばクリエイターが退会したからと言って急に素材がなくなってしまうというような事がなく、素材のダウンロードユーザーにとっては便利だと思うのですが、クリエイターにとっては制限が大きくなりやすいです。

いっぽう、利用許諾契約の場合は、クリエイターにとっての制限は限定的ですが、例えばクリエイターの都合で素材がなくなってしまう事も考えられ、素材のダウンロードユーザーにとっては若干不便なこともあるかも、と思います。

いずれにしても、これから素材ダウンロードサイト等に作品を登録しようと考えているクリエイターの方は、しっかりと規約を読むことをおススメします。

また、既に作品を登録されているクリエイターの方も、まだしっかりと規約を読んだことがない場合は、読み直してみると良いでしょう。

以上、参考になれば幸いです。

※記載の情報は記事投稿時点でのものであり、今後変更になる可能性があります。

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