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【お祭りでは著作権を無視してよい?】ひろゆき氏発言より(制限規定・非営利無償関連)

ひろゆきさんの切り抜き動画、一大ビジネスになってますね。

その他著名人の方も、切り抜き動画を制作する方とWin-Winの関係を築き始めており、「切り抜き経済圏」とも言える新たな経済圏が生まれ始めています。

さて、そんなひろゆきさんの切り抜き動画で、気になるものを見つけましたので、ご紹介いたします。

「ひろゆきのつぶやき【切り抜き】」様の動画を埋め込みリンクで引用させていただきました。

お祭りでの集客や資金不足改修の解決策として、「お祭りは著作権を無視しても許される」「そういう場でアニメDJを呼んで、それを目的に来た参加者にグッズ等を販売してはどうか」という提案をされているという内容なのですが、

こちら、現行法ですとアウトになります。

「自分の発言は全部本当とは限らない」と、ひろゆきさん本人もおっしゃられていますので、ひろゆきさんのお話を聞く時は、視聴者側にも真偽を判断するリテラシーが必要だと思います。

100%ひろゆきさんを信じてビジネスや行動を開始してしまって、後で実は違法でした、とか、実は許諾コストがかかります、という事になる前に、一度自分でも調べてみるという事が大事ですよね。

という事で、お祭りで著作権を無視するとマズい理由に関して、説明いたします。

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非営利無償イベントでは著作物の利用許諾の必要が無いが、条件は厳しい

著作権法には、「権利制限規定」という、著作権者に許諾を取らなくても許されるケースがいくつかあります。

分かりやすいケースとしては、「私的使用のための複製」が挙げられ、テレビ番組の録画(複製行為)を行い、家庭内で見る場合にも、いちいち著作権者に許諾を取っていては、大変な手間と労力の割に誰も得をしない状態になってしまいますので、こういったケースは許諾が不要という事になっています。

ただし、録画したテレビ番組を、Youtubeなどに流して収益化したり、DVDとして販売したりする行為は、著作権者の不利益に繋がる可能性が高いので、あくまで「私的利用」に絞るなど、一つ一つのケースに関してやって良いことと悪いことが決められています。

さて、いくつかある「権利制限規定」の中の一つに、ひろゆきさんの発言の根拠となっていると思われる「非営利目的の上演・上映・演奏等」があります。

その内容を、今回のお祭りなどのケースに合わせた言葉で簡単にまとめますと以下になります。

  1. 非営利目的のイベントであること
  2. 観客(参加者)から対価を取らないこと
  3. 演者(実演家)に報酬を支払わないこと

上記3点の条件すべてを満たす場合、公表されている著作物「上演」「演奏」「口述」「上映」に限って、著作権者に無許諾で利用できる

※厳密には、さらに「公表された著作物であること」なども含まれます

少し「権利制限規定」が定めるニュアンスとは異なりますが、あえて誤解を恐れず分かりやすい表現として、「著作権を無視しても許される」という状況にするためには、1. / 2. / 3.の条件を全て満たす必要があります。

これら条件について1つずつ確認していきます。

非営利目的のイベントであること

“非”営利ですから、当然のことながら「営利目的ではない」という事になります。

「営利目的」は、直接参加者から料金を取るという事だけに限定されません。

例えば、お祭りの中の1イベントの企画・運営を、祭礼委員会などから対価をもらって遂行した場合、たとえ入場料が無料でも、営利目的とみなされる可能性は高いでしょう。

また、ボランティアで企画・運営を受けた場合でも、お祭り自体がスポンサー(地域のお祭りの場合は地元企業などでしょうか)から寄付を受け、そのお礼として企業の名前を大きく張り出したりしていた時点で営利目的とみなされる可能性があります。

このように、非営利とみなされるには、関係者が(間接的であっても)経済的な利益を受けることが無い状態にしなければならず、割と高いハードルがあります。

観客(参加者)から対価を取らないこと

これは先ほどの「非営利」と異なり、分かりやすい条件かと思います。

なお、直接の名目が「観覧料」や「入場料」ではなく、飲食物やグッズの特典として、無料のイベント観覧がついてくる・・・という場合でも、対価とみなされる可能性が大いにあります。

演者(実演家)に報酬を支払わないこと

さきほど、非営利とみなされるには、関係者が経済的な利益を受けることが無い状態にしなければいけない、と説明しましたが、「演者(実演家)」も関係者です。

ひろゆきさんが提案されていたアイデアだと、「アニメDJ」が演者にあたります。

「アニメDJ」だと、アニメ(映像作品そのもの)をVJ的に流す人なのか、アニソンを中心に流すDJなのかあいまいですので、ここでは「アニソンDJ」という事にして説明します。

アニソンDJの方に、プレイに対する報酬を支払ってしまうと、この条件に抵触してしまいます。

この条件に抵触しないためには、無報酬でプレイをお願いすることになります。

なお、必要経費(会場までの交通費や、現場でのお弁当代等)については、報酬に含まれませんから、この程度はお支払いしてもOKです。

ただし、いわゆる「お車代」的な、限度を超える金額(実費は1,000円だったのに10,000円を支払う等)については、「必要経費」ではなく「報酬」とみなされる可能性が非常に高いです。

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無許諾で利用できる方法は「上演」「演奏」「口述」「上映」のみ

先ほど説明した3条件をすべて満たしたとしても、無許諾で利用できる方法は「上演」「演奏」「口述」「上映」に限られます。

「上演」には、演劇の上演などが。

「演奏」には、楽器の演奏に限らず、歌唱や、音源の再生も含まれます。

また、「口述」には、詩や物語の朗読など。

「上映」には、映画などの映像作品の上映が含まれます。

「アニソンDJ」という事ですと、このうち「演奏」が含まれますが、DJプレイにおいては、複数の素材をうまくつなぎ合わせたり、場合によっては曲調を少し変えたり(編曲)、そのためにPC等に素材をコピーして置いておいておく等の行為(複製)が必要です。

編曲や複製については、「非営利目的の上演・上映・演奏等」の範疇では許可されていませんから、先ほどの3条件を全て満たした非営利イベントであっても、厳密には編曲や複製の行為について権利者に許諾をとならなければならないと言えるでしょう。

グッズの販売は正規品・正規ルートであればOKだが、当然、無許諾販売はNG

ひろゆきさんが提案されていたアイデアだと、アニメ系イベント目的でお祭りに来た人に対して、そのアニメに関連するグッズを販売するというアイデアもありました。

イベントと関連性のあるグッズを販売している時点で、イベント自体が非営利とみなされないので、著作権を無視してよいか否か、という話はいったん置いておいて、

正規品を正規ルートで仕入れ、販売許可を得て販売することに関しては、この過程で著作権処理もされているでしょうから、何ら問題ないと思います(そもそも著作権を無視していません)。

当然のことながら、お祭りで販売するからと言って、キャラクターの絵を勝手にプリントしたグッズを制作して販売する等は、著作権侵害や商標権侵害にあたりますから、訴訟を受ける可能性も充分にあります。

特にグッズ界隈は、業者に発注すれば、パッと見はあたかも公式商品であるかのようなものが制作できてしまい、権利者の不利益に繋がるとみなされることが多く、取り締まりが厳しい分野ですので、注意したほうが良いでしょう。

まとめ

ひろゆきさんの「お祭りは著作権を無視しても許される」というお話に対して、そうじゃないよという事と、その理由に関して説明させていただきました。

ポイントを絞ると、

・非営利イベントでは無許諾で著作物を利用できる場合がある

・ただし、お祭り=非営利目的とは限らない

・さらに、非営利目的であっても、利用方法は限られる

・グッズの無許諾販売は問答無用でNG

ということで、ひろゆきさんの提案をそのまま実行すると著作権侵害になります。

繰り返しになってしまいますが、

ひろゆきさんのお話を聞く時は、視聴者側にも真偽を判断するリテラシーが必要であると思います。

そして、私の話に関しても、信用するか否かはあなた次第です。

分かりやすい情報が簡単に手に入るように世の中がアップデートした分、受け手側もアップデートしていかなければならなくなった、と言えるのではないでしょうか。

以上、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

※記載の情報は記事投稿時点でのものであり、今後変更になる可能性があります。

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